学校では絶対に教えてくれない 自分のこころのトリセツ

  • 日経BP (2013年9月25日発売)
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副題が、「あなたの『困った』にやさしく効く自衛隊式メンタルレスキュー術」。

災害や紛争の現場で活動する自衛官たちが大きなストレスにさらされていることは、容易に想像できます。
著者は、そんな隊員たちのメンタルヘルスにたずさわる、自衛隊初の「心理幹部」です。

本書では、
●困った感情や行動は、「原始人のころの本能」に基づく反応とみなせば、原因や性質が理解できる。
●原因や性質を理解できれば、それらとうまくつき合う方法もみつかる。
という考え方を基本に、
様々な「困った」に対するアドバイスが紹介されています。

また、上記の「原始人モード」の説明には、別の長所もあります。
カウンセラーからこの「原始人モード」の説明を受けると、相談者は、「(本能なら)仕方がない」と現状に納得し、自分のことを責めすぎず、今度のアドバイスも受け入れやすくなるのだそう。

「原始人モード」理論の強度は、正直私にはわかりませんが(著者がカウンセラー育成のためにカウンセリングを学ぶにあたって、十分な準備期間が与えられなかったと書かれているので)、この本を読んだ結果、気持ちが楽になる箇所がたくさんありました。
その中から、中学生の頃の自分が知っていたら良かったねと思う部分をいくつか。

●「子どもの心の強さ」と「大人の心の強さ」:
人は大人になるにつれ、努力や我慢という「子どもの心の強さ」だけでなく、困難をやりすごしたり他人に頼って解決するという「大人の心の強さ」が必要になる。

●状況を変えたいときには、「7対3」のバランスで:
完ぺきに変化することを目指して、「10対0」で今の状態をすべて否定することは、これまでの自分を守ってきてくれた自分(=今の状態)を、その貢献を無視することになる。
結果、最初のうちは「今の状態」を0に抑えられても、「変化(進化)」への疲れや不安に対応しきれず、長期的には元に戻ってしまう(=変化できず、自信もなくなる)。
一番良い目標バランスは、「7対3」。
「今の状態」と「変化」のどちらが7でどちらが3でもいい。
欲張って「8対2」や「9体1」にすると、デメリットが急増するので注意。

●人は不必要な悩みを抱えがち:
人は誰でも、
(1)仲間を作ること
(2)愛されること
(3)能力をつけること
(4)群れの中で一番になること
の4つが気になってしまうもの。

なぜなら、これらは「個の保存」と「種の保存」(生き延びて・子孫を残す)という本能の最終目標に直結した中間目標だから。

でも、この4つの中間目標は達成しにくい。
しかも、現代では「生き延びて子孫を残す」という最終目標自体が、昔より達成しやすくなっているため、中間目標の達成はあまり必要ではなくなっている。

つまり、(現代)人は不必要な悩みにとらわれがちな生きものなのである。

●打たれ弱い人は、困ったら、人の力を借りて、素早く「手当て」を:
どんな失敗にも、3割くらいは「いいところ」(=間違っていない、ちゃんとできたところ)が隠れているので、相談することでそれを客観視する。
また、「尊敬しているあの人だったらどうする?」という視点で、辛かった出来事を思い出し、自分がそれを実行しているところを「次はこうしよう」と想像して、良いイメージで締めくくる。

●どうにもならないことが7割:
何かを行うとき、準備や努力でコントロールできることが3割、予測不可能でどうにもならないことが7割。
つまり、30点取れたら最低限の義務は果たしたといえる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年8月7日
読了日 : -
本棚登録日 : 2017年6月14日

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