折りにふれ見返している作品です。
誰だって皆互いに違う切符を手にしている。気付かないふりをしながらも、別れの予感は常に痛いくらいに付きまとう。
劇中で明確なかたちでの救済が描かれないのが怖い。「ほんとうのさいわい」とはいったいなんなのだろう?
鑑賞後の置いてけぼりにされたような、暗闇の宇宙に放り出されたような心地は、やはり何度味わってもそのたびに戸惑いを覚えます。
表情の変化に乏しい、ガラス玉のような瞳の主人公たち。彼らは独り言をおとすようにぽつぽつと喋る。
「猫」という造形の選択が、物語られるべき死と別離をより深遠な場所に置くことを可能にしているように感じる。
抑制の効いた演出が、時に情感たっぷりな演技や音楽よりも深く心を打つことがある。この映画はその好例であると思います。
ところで一番好きな場面は鷺の足を食べるところです。
原作でジョバンニたちは「ぽくぽく」とそれを食べるのだけど、効果音とかが本当にそんな感じでとにかくすごく美味しそうにみえる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
定番映画
- 感想投稿日 : 2014年7月17日
- 読了日 : 2014年7月
- 本棚登録日 : 2014年7月17日
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