阪本順治監督、2006年作。風吹ジュン、三田佳子、寺尾聰、常盤貴子、豊川悦司、林隆三、加藤治子、由紀さおり、今陽子出演。
<あらすじ(ネタバレ)>
定年後3年で夫、隆之(寺尾)に先立たれた敏子(風吹)は、葬儀後に夫の浮気を知る。焼香に来た浮気相手の昭子(三田)を問い詰めるも答を得られないまま、同居をめぐる子らとのいさかいもあり、目を外に向け始める敏子。宿泊先で知り合った老婆(加藤)との出会いと死別、初老の男(林)とのデート、映写技師として働くこと、引っ越しなど、専業主婦から抜け出て社会と接触しながら、今は亡き夫に想いを馳せる話。
<コメント>
ストーリーとは関係ないところからで恐縮ですが、最初のほうに出てくる今陽子、由紀さおりらのコーラスがとても良い。さすが実力派歌手でした。
この映画、専業主婦がそのナイーブさから脱皮していく姿を描いているのでしょう。
専業主婦はこうあるべしという一種の「職業倫理」に従って「まじめ」に夫に尽くしてきた敏子だったのに、夫は実は浮気していた。浮気を知った時は許せなかったのでしょう。ただ、隆之の行動が、家庭を壊さず敏子の老い先も案じたものだったことに、彼女は最後の方で気づくわけです。愛情と家庭とは、一致するのが理想だけど、それがバラバラになっても、家庭だけは守る、そういう使命感が隆之にはあった。そのことも分かりつつ、生きていた当時にはそのことに気づかなかった。そういう「すれ違い」の喪失感を映写室で感じていたのがあのラストシーンだったのかな。
ラストに挿入されたのは、映画「ひまわり」のラストシーン。愛し合ったアントニオとジョバンナが戦争で引き裂かれ、再会した時にはお互い別の道を歩んでいたという映画。ソフィアローレンと常盤貴子、雰囲気が似てますね。顔の輪郭がかな…
- 感想投稿日 : 2017年2月11日
- 読了日 : 2017年2月11日
- 本棚登録日 : 2017年2月11日
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