著者の繊細な五感が針のような鋭さで抽象する世界は、柔らかさ、静けさ、肌触り、香り、光などによって注意深く再構成された、決して辿り着けない、と同時に決して抜け出せない世界の安らぎと哀しみに満ちている。細切れのシーケンスが危うげに紡ぐ蜘蛛の糸のごとき命の連環を辿りながら、命や、その存在について考える。エンデの「鏡の中の鏡」にも通じる、ガラス箱のような物語。
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- 感想投稿日 : 2010年8月6日
- 読了日 : 2010年8月5日
- 本棚登録日 : 2010年8月5日
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