ハリー・ポッターと賢者の石 (1)

  • 静山社 (1999年12月1日発売)
3.91
  • (3080)
  • (1748)
  • (3549)
  • (89)
  • (28)
本棚登録 : 18560
感想 : 1859
3

満を持しての着手となった大ベストセラーの一作目。
映画が先か?小説が先か?で云えば明らかに映画が先だったわけだが、読んでみるとなるほど、映画は小説の内容を余すところなく捉えており、小説ファンにしてみればかなりよい出来だったのではないかと思われた。

映画が先の場合、小説の登場人物は全て俳優にインプリントされるわけでこれが便利なのか不便なのかよく判らない。私の場合は全然抵抗なく物語に入っていけたし、俳優もイメージ通りだった。
内容といえば、やはりこれは長く続くシリーズのイントロダクションの要素が強いのだが、ローリングの手腕は布石を全体に散りばめており、読書に対する発見や驚きを読者にきちんと提供している。これは確かに子供に受けるわけだ。
ニコラス・フラメルの謎なんて結構驚いた。あからさまに冒頭に書いているのだから。これもミステリを重んじる英国の風土が作者にも根付いているのだろう。

魔法の道具の使い方も物語と融合しており、とても素人が書いたものとは思えない。スネイプの使い方が非常に上手く、恐らくはこの最後の敵の正体とスネイプの二面性が読者に大いに受けたのであろう。

で、私だが、やはり映画を先に観ると、登場人物のイメージがすんなりと頭に浮かぶものの、ストーリーが頭に入っているものだから、面白さは半減した。
というより、映画がかなりよく作られていることを再認識したというのが正解か。この後の2作も同様の印象を持つのだろう。第4作目の『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』が真に評価を与えるに値する作品だろうから、それまではこんなところか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2021年6月26日
読了日 : 2021年6月26日
本棚登録日 : 2021年6月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする