治安維持法 - なぜ政党政治は「悪法」を生んだか (中公新書 2171)

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  • 中央公論新社 (2012年6月22日発売)
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悪名高い治安維持法の成立から、その拡大的適用、そして廃止に至るまでの歴史的経過を、中心的役割を果たした機関や政治的状況に焦点をあてることで克明に描き出している。本書によれば、治安維持法は加藤高明内閣の下で、共産党を具体的な対象と考え、デモクラシーを破壊しようとする結社に制限を加えようとして制定された。議会では反対意見も強かったが、政党人は成立した以上遵守するのが政党政治の精神だと理解していた。それが、次第に拡大解釈され本来的には共産党員でない人々にまで適用されていった。名前は知っているが、詳細には理解はしていないという歴史的に有名な事象は数多くあるが、治安維持法もその一つだったということに気づかせてくれる著作。戦前日本の政治の内実をより深く理解するためにも役立つだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年7月16日
読了日 : 2012年7月16日
本棚登録日 : 2012年7月16日

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