日本型プロフェッショナルの条件―アメリカ的論理思考では問題は解決できない

著者 :
  • ダイヤモンド社 (2009年12月11日発売)
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感想 : 20

まず、著者の経歴が面白い。
銀行員、経営者の転職コンサル/ヘッドハンター、経営コーチ、
経営大学院の講師、更に本人も企業経営者で、浄土真宗の僧侶だ
そうです。

ご自身の経験談を添えながら、キャリア形成や人生観などについて、
哲学的で深いコメントが語られています。語り口は読み易いものの、
なかなか考えさせられます。説法を拝聴しているかんじ。

・プロフェッショナルという言葉の由来は「Profess(宣誓)」から。
 プロフェッショナルとしての資格を得たいなら、神に誓い、
 自らのミッションを果たすための覚悟を持たなくてはならない。
・企業の雇用環境が変化する中で、自分がなすべきことを考え、
 自分に課していきながら、特定の分野で一流と呼べるような
 専門性をもつよう自己のスペシャリティを磨いていく、
 自律・自立した「日本型プロフェッショナル」を目指すべき。
・日本型プロフェッショナルでは、各個人が自分の決めた分野での
 「個性化」を目指し、各々独自の道を歩み始める。
 個性化とは、「個人に内在する可能性を実現し、人格を完成して
 いく」こと。
・「主体と客体が分離、相互作用する世界」から、主体の中に
 「自己」を想定し、自分が本来的な自己になる「自己実現」、
 つまり「個性化」すると、「主体と客体が統合される世界」に
 なる。

ものすごく概念的な話なので、上記のエッセンスだけだと良く判ら
ないかもしれませんね。本を読んで、自己実現や個性化のイメージに
私は結構納得しました。
本のなかでは、上記概念の詳細の後、具体的に「何をすればよいか」
も描かれています。

面白いのは、ヘッドハンターでありながら、必ずしも転職を進めて
いないこと。理想の職を求めて定職につかず転職を繰り返す人である
「青い鳥症候群」についても触れています。もしも今やりたいことが
わからずにいるなら、目の前の仕事に全精力を注いで取り組んでみる
ことを推奨しています。それにより、内なる青い鳥(=自己)に目覚
める、と。

以前紹介した「夜と霧」の著者である心理学者ヴィクトール・フラン
クルについても紹介されていました。

・人生には必ず意味があるから、「自分は何のために生きているのか」
 を巡って思い煩う必要はなく、「自分が人生から問われていること」
 に、ただ答えていけばいい。必ず自分を必要とする誰かがいて、
 実現すべきことがある。つまり、いかにあるべきか(How To Be)が
 問われている。
・常に我が身を振り返り、自己の良悪両面に向き合い、自分がどうあり
 たいのか、どう改善し磨いていくのかを考え、前に向かって進んでい
 く。その繰り返しの中で、自己実現が可能となる。個性化の世界や
 一流の人材への道は、日々の地道な積み重ねの中にある。

沁みますね。。。

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感想投稿日 : 2012年12月10日
本棚登録日 : 2012年1月6日

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