時には懺悔を (角川文庫 う 15-1)

  • KADOKAWA (2001年9月21日発売)
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本棚登録 : 145
感想 : 19
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9年前の誘拐事件を追っていたと思われた探偵が惨殺され、その死を明らかにするため、探偵佐竹と見習い中の助手が、かすかな手がかりをたよりに解いていく。

重度の障害を持って生まれ誘拐された子供、子供の世話に追われて逃げようとしない誘拐犯、知っていて取り戻そうとしない元両親という、犯人側にも葛藤があるタイプの話。

調べる方もまったくもって完璧ではなく、子供に感情移入してしまったり、犯人を自首させようとヤキモキしたりと悩むポイントが多い。

文章も読みやすく、いわば「宮部みゆきタイプ」の社会的正義が簡単に適用できないシチュエーションで、読ませたいポイントがわかりやすいところは高く評価できるだろう。

しかし、時々バイクが転倒したりと、謎の描写が挟み込まれるのは何なのか。ストーリーと関係あるのかと引っかかってしまう。

また、いろんな世間の悩みを詰め込みたいがあまり、無闇に登場人物を増やしすぎたのもマイナスである。

力作では有るが、いろいろと人生のネガティブな部分に頼りすぎた作品である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2017年2月22日
読了日 : 2017年2月22日
本棚登録日 : 2017年2月22日

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