夏っぽいかな、と思って手に取った本。この作家はたぶん初読。少なくともbooklogに書いているリストには無い。
日本人とインド人のハーフとして生まれた主人公が、フラフラしている父親、モデル上がりで奔放な母親、国外退去に怯えるパキスタン人、お金のない日本人たちに振り回される夏の終わりのひと時。
「貧困セックス小説」とでも言うんでしょうか。最初から最後まで一貫して、居心地の悪い状況が続く。1990年を回想して書いているらしいけど、別に携帯電話を出して1999年でも、スマホが出てきて2015年でも良いような作品でもある。
内容はともかく、個人的に嫌いな表現が多いので、読んでいて辛かった。具体的には、章が変わった所で視点が別人物に変わっており、個人名や固有名詞がバラバラバラと撒き散らされる。あずさだのトシだのダイアー・ストレイツだのニール・ヤングだの、知るかボケと言う表現が出てくる。
なんかこのイライラ感、以前に読んだよなー。マガジンハウスとかの女性向け雑誌の後ろの方に、なんだか抽象的な絵を入れて、ストーリーをブチブチに切ったアレ…角田光代の「どこか遠く」とか言うアレだ、と気がついたときにはときすでに遅し。嫌いなタイプの小説ですよ、もう。
結局、バンドのボーカルに投影だとかはしなかっただけ救いは有ったものの、なんというか、打開も破綻もなければ殺人事件もなく、気分の悪い状況を維持だけで終わって、個人的には何も残りませんでしたという作品でありました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
一般小説
- 感想投稿日 : 2017年8月16日
- 読了日 : 2017年8月15日
- 本棚登録日 : 2017年8月15日
みんなの感想をみる