タイトルで予想がつくかと思うが、阪大医学部出身のミステリ作家による、阪大時代の思い出のエッセイ集。
阪大医学部出身のミステリ作家というと、霧村悠康は知っていたが、最近は久坂部氏の方が有名なようで、取っ掛かりがエッセイからということもあり、ちょっと申し訳ないので小説の方は今後読んでみたい。
個人的に、土地勘や言葉のとっつきやすさ等もあり、「青春記」などと題したエッセイの場合、開高健にしろ小松左京にしろ万城目学にしろ、大阪の話をされるとそれだけで評価を上げてしまう。
ワタクシも過去に阪大医学部に右足の親指くらいは関係していたことも有るのだが、一切知らない中之島時代の医学部の話だ。タイトルにも引用される手塚治虫の青春期や、中で何度か引き合いに出される北杜夫の「どくとるマンボウ」シリーズ、なだいなだのような、「サボリ学生」の描写は、医者でない身分からすると非常に楽しく読める。
また、医者となったあとの患者を見るに当たっての葛藤は、マイクル・クライトンの自伝にも通じるものが有る…かな?もうちょっと個々の事例を書けばよいのではないかと思うが。
後半の旅行記は、半分面白かったが、半分はやむなく書いたと言うような話。
エッセイの中では、本職のミステリの片鱗は見えないのではないかと思うが、関係者以外にも、それなりに面白く書かれていると思う。
そこまで☆3。最後に最近よく目にする、阪大医学部・微研の桂小枝こと仲野徹大先生が出てきたので☆をプラス1。過去に研究関係でお話したことがありましてね。
- 感想投稿日 : 2017年12月22日
- 読了日 : 2017年12月22日
- 本棚登録日 : 2017年12月22日
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