贄門島 上 (文春文庫 う 14-4)

著者 :
  • 文藝春秋 (2006年8月3日発売)
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本棚登録 : 177
感想 : 14
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夏の複数巻同時に読破シリーズ。今回は軽いの。

千葉の鴨川沖にあること贄門島こと美瀬島は、観光及び行政サービスもすべて遮断した島である。浅見光彦の父は生前、船が転覆した際に美瀬島において助けられたという逸話と、その際の不思議な出来事を調べるため、浅見は島へと赴くが、島民はどことなくよそよそしく…。

最近読んでる本の中では、非常に読みやすく、親切。多少読み飛ばしても全部その後にフォローが入るので、ものすごい勢いで読めてしまう本である。

プロローグの暗さから、日本海側か瀬戸内か、それとも五島列島のほうかと思いきや、千葉はいすみ市大原。浅見もソアラですぐ着くわという場所。実際には「仁右衛門島」と言う無人島があるらしいが、それとはまた別の島である。

さて内容。人口が数十人の村の話と言う部分も含め、登場人物が絞られてしまうという事情はわかるのだが、出てくる人出てくる人殺されそうで、実際に次々と殺されてしまうのである。下巻ではもう少し登場人物が増えて、誰が関係者で、誰が殺されるかがパット見でわからなくなればよいのだけど。全体に感情移入はしにくいのが難点。浅見に感情移入できる人は除く。

途中でニューヨークのテロ事件や北朝鮮の不審船の銃撃といった、割と最近(私が読む本の中では)の、2001年の時事ネタが出てくる。

また一方で、やっぱり里見氏からの源平かー。内田康夫の十八番ですわな。

今の所気楽に読めて、あまりハラハラもしない展開だが、安定感はある。下巻に期待。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2019年8月3日
読了日 : 2019年8月2日
本棚登録日 : 2019年8月2日

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