渡辺たちが挑もうとしている敵は、あまりにも巨大であると同時に「首謀者はいない」のだ。そんな敵に疑問を投げかけたり、追求しようとしても「そういうことになっている」と言われれば、それ以上はどうすることも出来ない。そこに強いて踏み込んでしまったら、その先には「恐怖と苦痛」が待っている。
自分の人生は自分のものだと当たり前のように思っていた。仕事にしても、恋愛にしても、もちろん個人情報も。けれど、その当たり前のことが、実は国家のシステムの監視の上で操作されているものだとしたら。きみは大きなシステムのひとつの歯車となっているんだよと言われたら。
どうするだろう。真相に近づこうとするか。見て見ぬふりをするか。どちらにしろ、この渡辺の住む世界では歯車となることを拒むにしては、相手は悪すぎるということを私は悟った。
あ、渡辺の住む世界「限定」ではないな、たぶん。いや、確実。
「アリは賢くないが、コロニーは賢い。
人には良心があるが、人のコロニーには良心はない。」
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学:著者あ行
- 感想投稿日 : 2019年11月19日
- 読了日 : 2019年11月19日
- 本棚登録日 : 2019年11月19日
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コメント 2件
やまさんのコメント
2019/11/20
地球っこさんのコメント
2019/11/20