「あなたに起こる やさしい奇蹟」を集めた短編集。
わたしの心には、『うらぼんえ』がいちばん奇蹟を起こした。
涙がとまらなかった。
心細さで、折れそうな時。
自分はなにも悪いことはしていない。
でもたったひとりで、理不尽な出来事に立ち向かわなくっちゃいけないとき。
たったひとりでいい。そばにいてくれたならば。。。
泣かない。ぜったい泣かない。泣き顔を見られたら負けだ。
呻き声を奥歯で噛み殺す。
ちえ子は迎え火のかたわらに蹲る。
そんな時に、二度と会えないはずの人の声が聞こえたら。
「ちいこ」幼い頃の自分の呼び名で名前を呼ばれたら。
盂蘭盆会。
わたしは、お盆の時期いつもと違う空気のやさしいゆらぎを感じる。
亡くなった大切な人たちと、もう一度出会えても決して不思議ではない日。
そして、それは生きていくわたしたちが、一歩踏み出せる日なのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学:著者あ行
- 感想投稿日 : 2014年7月15日
- 読了日 : 2014年7月15日
- 本棚登録日 : 2014年7月15日
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