鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2000年3月17日発売)
3.73
  • (460)
  • (593)
  • (782)
  • (73)
  • (17)
本棚登録 : 5619
感想 : 469
5

「あなたに起こる やさしい奇蹟」を集めた短編集。
わたしの心には、『うらぼんえ』がいちばん奇蹟を起こした。
涙がとまらなかった。

心細さで、折れそうな時。
自分はなにも悪いことはしていない。
でもたったひとりで、理不尽な出来事に立ち向かわなくっちゃいけないとき。

たったひとりでいい。そばにいてくれたならば。。。

泣かない。ぜったい泣かない。泣き顔を見られたら負けだ。
呻き声を奥歯で噛み殺す。
ちえ子は迎え火のかたわらに蹲る。
そんな時に、二度と会えないはずの人の声が聞こえたら。
「ちいこ」幼い頃の自分の呼び名で名前を呼ばれたら。

盂蘭盆会。
わたしは、お盆の時期いつもと違う空気のやさしいゆらぎを感じる。
亡くなった大切な人たちと、もう一度出会えても決して不思議ではない日。
そして、それは生きていくわたしたちが、一歩踏み出せる日なのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学:著者あ行
感想投稿日 : 2014年7月15日
読了日 : 2014年7月15日
本棚登録日 : 2014年7月15日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする