人間、高倉健がここにいる。まずそう思いました。
エッセイに綴られている言葉は、自分を飾ることもなく、ひとりの男として仕事や友情、恋愛などのことを書かれています。
その姿は自分の考えが至らなかったときは素直に反省されます。仕事柄、海外を旅されることも多く、そのお国ならではの美学に感動され、またその陰に隠れた哀愁に心を寄せられます。また日本ならではの心遣いや伝統などにも深い感銘をうけられます。仲間の方々を大事にされファンの方を蔑ろにすることもありません。
ひとりの血が通った温かい人間高倉健がここには存在していました。なんとも綺麗な精神をお持ちな方です。
それだけではなく、愛する人との別れに傷つき、愛に臆病になってしまったような部分も見せてくれます。
とっても大切な人こそ、深く傷つけてきたような気がする。傷つけたことで自分も傷つく。そしていつのころからか、本当に大事な人からはできるだけ遠ざかることにした。くっつかなければ、別れることはない、と。
人を想う気持ちは自分ではどうにもできない心。また一緒になりたいとかは思わないけれども、あの時に感じた想いは、今も宝石のようにキラキラしているのです・・・と。
愛とはまた次元の違う愛おしさです。なんだか崇高な気持ちにさせられました。
また母の愛情溢れる気持ちを少し疎ましく思いながらも、母に褒められたくて一心に仕事をしてきた息子としての姿も見せてくれます。
もう、この部分にジンときましたね。抱きしめてあげたいなんてね、思っちゃいましたよ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学:著者た行
- 感想投稿日 : 2017年10月19日
- 読了日 : 2017年10月19日
- 本棚登録日 : 2017年10月19日
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