もしも長い時が経って、秋、由紀夫、雅子、沙世子が高校時代を思い返すことがあったとしたら。時の流れに記憶が曖昧になってるかもしれないけれど、あの学園祭の日に起きた竜巻の美しさは誰も忘れていないような気がします。でも、それは決して開けてはいけない、まるでパンドラの函のように思いました。読み続けている間、喉元に刺さった小骨のように何かがつっかえてるような、じっとりとした不穏な空気がまとわりついてるような、ほんの些細なことで壊れてしまいそうな、そんな不安定な気持ちにさせられました。一体何だったんだろう『サヨコ』って。学校って。微熱に浮かされたよう。
でも、最後に沙世子と秋の関係が見えない壁をぶち破ったように感じました。
生徒は水が流れるように留まることはないけれど、学校という容器はずっと其処にあり続けます。その中でまた、何かが生まれていくのでしょう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学:著者あ行
- 感想投稿日 : 2017年9月22日
- 読了日 : 2017年9月21日
- 本棚登録日 : 2017年9月21日
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