日本の統治構造: 官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書 1905)

著者 :
  • 中央公論新社 (2007年7月25日発売)
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出版が2007年と少し古いが今でも妥当する部分が多いのではないだろうか。筆者は、日本の統治機構の特徴について、人事グループによって組織された省庁による代表性とする。この点、閣僚すらも省庁の代弁者に過ぎない。もっとも、本書を読み進めれば官僚・政治への批判に徹しているわけではないことが分かる。官僚も自立的な支配層を形成しているわけではなく、所管業界との利益・相互調整関係や脆弱な政党組織に端を発する政官関係など、根深い日本社会の特質の中で官僚制が規定されている。閣僚が省庁の利益を代弁するのはそうすることが動きやすいからであり、それは自民党支配の安定に伴って閣僚ポストが専門知識などではなく褒賞として差配され、せいぜい1年程度交代してしまう面が大きい。
本書の内容はどれもどこかで聞いたことのあるようなものばかりだが、改めて通して読むことで日本の政治構造を深く理解することができた。ただ、第二次安倍政権以降の官邸主導の話は当然出てこないので、今の行政のあり方を学ぶには他の書籍を当たる必要がある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治
感想投稿日 : 2023年1月30日
読了日 : 2023年1月30日
本棚登録日 : 2023年1月30日

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