凍りのくじら (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2008年11月14日発売)
4.04
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本棚登録 : 26353
感想 : 2286
5

ちょっと落ち込み気味の時に暗い本を読むのは危険、と、かつて「ノルウェイの森」で学んだはずなのに、内容を知らなかったとはいえまたやってしまいました。いや、「ドラえもん」の牧歌的な雰囲気から油断してたのですよね。恐るべし猫型ロボット。

どんよりというか、眉をひそめながら読み進めていたのは、多分理帆子のキャラに同情しづらかったせいかと思う(それさえも多分作者の狙いなのでしょう)のですが、フラストレーションをためた分、トップギアが入った終盤の展開にはぐいぐい呑み込まれました。ハラハラドキドキ、でもプロローグの雰囲気からして悲劇的結末にはならない。未来を約束された中でのキリキリ感。やがて収まるべき所に話は落ち着き、そして、え、ええええー!?

このどんでん返しは完全に不意打ちでした、こういうカラーの話だとそもそも思ってなかった。作品の事前情報も無く、作者のカラーもまだ良く分かってない(辻村さん3冊目です)ゆえの醍醐味ですが、いやはや鮮やかに討ち取られました。ただただ脱帽です。いやこれ凄い…。

なんだか想定外の感動に包まれてしまいましたが、それにしても、名作には名レビューが山ほど書かれるんだなと、ブクログ開いて感心しています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・ミステリ
感想投稿日 : 2019年11月4日
読了日 : 2019年11月4日
本棚登録日 : 2019年11月4日

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