大正4年12月、北海道苫前郡苫前村三毛別六線沢 でヒグマが開拓民を襲った『三毛別羆事件』をモデルにした話。
入植した村落の者たちの過酷な環境だけでも圧倒されるが、そこに襲いかかる羆。どこまで厳しいのかと身が竦み上がる。
状況が変わるにつれて恐怖感が高まり、羆に対する人々の感情の変化が生々しく伝わってくる。
人々の銃に対する盲信、集団に対する安心に対して、一人で羆と対峙する熊撃ち名手の銀四郎は違う。
羆の習性を知悉し、冷静に判断する。けれど誰よりも羆の恐ろしさ知り、畏敬の念を持っていた。
人間は別の生き物を狩って生きてきた。が、その逆は考えない。羆にしたら人間は生きるための食料なのだ。そのことに思い至ったとき、別の恐怖を感じた。
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- 感想投稿日 : 2020年9月29日
- 読了日 : 2020年9月17日
- 本棚登録日 : 2020年9月29日
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