書物愛 [海外篇] (創元ライブラリ)

制作 : 紀田順一郎 
  • 東京創元社 (2014年2月28日発売)
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本棚登録 : 112
感想 : 9

『日本篇』と同時発売の、こちらは『海外篇』。
『海外篇』で外せないのは、矢張り、フローベール『愛書狂』、ユザンヌ『シジスモンの遺産』だろう。どちらも滑稽でありながら物悲しい、コレクターの情念を戯画化して成功している(余談だが、白水社版とサバト本はどちらもコレクター心をくすぐる造本だ)。
訳文もテンポが良く、読んでいて気持ちがいい。仏文の翻訳は矢張り生田耕作が一番好きだ。
他の作品では、M.R.ジェイムズ『ポインター氏の日記帳』が収録されていたのが嬉しい。正統派の英国怪奇小説の書き手として知られる著者で、この短編も怪奇小説。カーテンの柄、見てみたいなぁ……。その他、『書痴メンデル』の切ない結末、テンポの良い会話劇とも読める『牧師の汚名』良かった。

全体的に『日本篇』と比べると、『本』という『物』に対する意識の違いが垣間見えて面白い。『日本篇』は本を巡る人間関係やちょっとした謎がメインになっていることが多いが、『海外篇』では、『写本』や『豪華な装丁』への拘りが感じられるものが多いように思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年3月25日
読了日 : 2014年3月25日
本棚登録日 : 2014年2月26日

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