地の星 なでし子物語: なでし子物語

著者 :
  • ポプラ社 (2017年9月21日発売)
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本棚登録 : 524
感想 : 69
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皆さん高評価なのですが、わたしはちょっと。。。
没落過程とは言え膨大な資産を持つ遠藤家。母の育児放棄にあっていた少女・耀子は林業で財を成した遠藤家発祥の地・峰生に建てられた広壮な常夏荘で働く祖父の元に引き取られ、病気療養のために転地していた遠藤家の孫・立海が出会う。ちょっと『秘密の花園』等を思い出させる少年少女を主人公にした良い話『なでし子物語』の続編です。
前作から一気に18年。なんと今度は”お仕事小説”でした。
遠藤家の家長・龍治の嫁になった28歳の耀子が、何故か過疎化が進む峰生のスーパーのパートです。大手スーパーの傘下に下り、東京から来た店長が遠藤の分家の娘。閉店に追いこまれようとするスーパーを耀子たち従業員が建て直していきます。そして。。。
ただねぇ、お仕事小説としての出来は良くない。美味しくて健康的で安いお弁当、一口食べた人から直ぐに口コミで広がる可愛らしいスイーツ。確かに登場人物の中に腕っこきの料理人を配しているとはいえ、そんなものがたちどころに生まれて、しかも大量に作ることができる。そりゃ成功します。しかも、作るところは常夏荘の巨大で何故か最新設備を備えた台所。「苦難を頑張り抜いた果ての機知」がお仕事小説なら余りにご都合主義という気がします。
では人が描けているかと言うとそうでもなく。全国模試10位という頭脳明晰なはずの耀子は28歳になった今でも何故か愚図キャラですし、他の登場人物もどうもキャラが不安定な気がします。

『秘密の花園』的な話が「お仕事小説」に、資産家の嫁がスーパーのパート、そんな木に竹を継いだような無理な設定です。
いっそ別の話として切り出した方がすっきりする気がするのですが、物語のバックには遠藤家の物語が流れ続けます。娘の喘息治療の為と言いながら長く別居し、会話の無い耀子と龍治夫妻。何故か避けあうような幼馴染の立海と耀子。そのあたりの謎が最終編『天の花』で明かされるのかもしれません(どうも話は遡り耀子の結婚にまつわる物語の様です)。
とは言え、手を出すかどうか・・・・。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般
感想投稿日 : 2018年10月24日
読了日 : 2018年10月24日
本棚登録日 : 2018年10月24日

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