二人が睦まじくいるためには

著者 :
  • 童話屋 (2003年10月1日発売)
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本棚登録 : 530
感想 : 58
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吉野弘さんを初めて知ったのは、是枝裕和監督の「空気人形」という映画に、「生命は」という詩が引用されていた時でした。それ以来、吉野さんの詩を読むようになりましたが、そこには国語の教科書で習った「I was born」や、何故か何処かで見たのか、「祝婚歌」など有名な詩がありました。

本書には吉野さんの様々な詩集から厳選された詩が編まれていますが、その一篇一篇は素晴らしく、どのページを開いても吉野さんの優しく、しかし鋭い洞察、視線、思いを感じて、切なくなったり、なんと言っていいのか、言葉にならない思いが次々溢れてくるのです。

茨木のり子さんが寄せられた文章からも、吉野さんのお人柄、ご夫婦のあり方、茨木さんとのエピソードなども知ることが出来、読み応えがありました。
先日の茨木のり子さんの詩集でもそうでしたが、出版社の童話屋 田中和雄さんが編者あとがきとして巻末に寄せられています。
詞華集を作ることへの熱い思いや、何より詩、作品そのもの、作者への愛がしみじみ感じられ、このあとがきを読んだだけでとても幸せな気持ちになれました。
童話屋さんの本をまだまだ読んでみたくなりました。

タイトル「祝婚歌」ではなく「二人が睦まじくいるためには」と決まったときのエピソードも本当に素敵です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年1月28日
読了日 : 2022年1月28日
本棚登録日 : 2021年12月26日

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