シン・ゴジラ DVD2枚組

出演 : 長谷川博己  竹野内豊  石原さとみ 
  • 東宝
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感想 : 238
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「エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明による新しい「ゴジラ」ストーリーが誕生
見どころ
ゴジラが放つ想定外の攻撃に度肝を抜かれること必至。危機に直面した日本政府の対応が細かく描かれていて興味深い。映画に初登場する自衛隊の最新兵器も見逃せない。
ストーリー
東京湾アクアトンネルの崩落事故が発生。政府で原因を探る中、突如東京湾に現れた未知の超巨大生物・ゴジラが陸に上がって街を破壊。日本政府はゴジラへの対応を目的とした緊急対策本部を設置するが、後手後手の対応によって事態が悪化していく。
ここがポイント!
2016年第90回キネマ旬報日本映画ベスト・テン2位

さすが庵野さんという内容の映画でした。ゴジラの映画でありながらタイトルはカタカナ表記であるけど、しっかりと新ゴジラ になっていると思います。そして、当作品を観終えるとおそらくほとんどの人がこれは、エヴァンゲリオンだと感じると思います。
現れたのは使徒ではなくゴジラであり、そのゴジラと戦うのは日本に暮らす一般人です。「クローバーフィールド」という映画でゴジラのような怪獣がアメリカに現れて、立ち向かった軍隊も逃げ惑う一般人も一掃されてしまうという作品がありますが、今回シンゴジラで立ち向かった日本国民は、エヴァやイェーガーを持ち合わせていないにも関わらずあらゆる知識を駆使して現時点では目一杯という結果でゴジラを停止させます。
あくまで停止ではあるのですが、銃火器は一切その身体を通さず、核ミサイルを撃ち込む以外にゴジラを破壊、抹消することはできません。この日本の国土に三度目となる核を落とすことは、日本人としてもアメリカとしても最も拒むべき選択肢であるので、多くの犠牲は払ったものの最良の結果であったと思います。
この核融合をエネルギー源とし、熱放出と冷却を必要とする物体、ゴジラは原子力発電所に酷似した存在です。
その、ゴジラが日本に上陸し都市機能を停止させそこに住む住人に多大なる犠牲を起こしたこの構図は完全に東日本大震災における福島原発のメタファーです。
冷却手段を失ってしまった原発がメルトダウンを起こす恐怖を日本の首都で起こしているのがゴジラであり、その際にどれだけの人間が国の中枢でどのように考えを至らせ、会議し、まとめ、発していたのかという事がざっくりとではありますが分かると思います。この作品の面白いところは、誰もが突如、東京に上陸したゴジラに対して驚きの演技をしないという所です。通常の怪獣映画は、現れた怪獣に対して見たこともない、途轍もない未曾有の化け物が現れてしまった、という演技を見せます。これから、アイツはこういうアクションで人々を殺戮するのだという説明的な演技をするはずなのですが、ほとんど全員が無表情でこれから起こりうるリスクと対策方法を自身の立場で取れる範囲の中でひたすら語り続けるシーンばかりで構成されています。政治家や官僚が登場人物の中心であることも理由かもしれませんが、一般人がただ、ゴジラの恐怖を語るシーンもほとんどない事から、生物としてのゴジラの機能や恐怖の能力がこの物語で取り扱う問題ではないからではないかなと思います。「ヤシオリ」作戦で血液凝固剤をゴジラの口に流し込む様は福島原発でヘリコプターからの冷却水を放水していた作戦を想起せずにはおられないようなシーンでした。矢口さんが作戦決行前に、命が無事であるかどうかわからないような危険な作戦であるが、どうか力を貸してほしいと演説をしますが自衛官の方が冷却水放水作戦の前に隊員に語った言葉そのものだと思います。
クライマックスにおける、「日本は必ず復興する」「ゴジラとは共存していくしかない」という部分はかなり強いメッセージだと思います。
作品にはそういったメッセージ性を込めた内容であるような部分も感じましたが、怪獣映画として物語自体かなりおもしろかったです。とにかくゴジラの最終形態での拡散粒子砲のような攻撃シーンはど迫力でした。
庵野監督は実写でもアニメのようなルックを作ってくるすごい監督だなと思いましたが、考えてみるとこれはアニメなのだなと思います。実写というのは役者の演技や後ろの背景を自然のままカメラの中に収めていくものですがコンピュータグラフィックスで多くのシーンを自然のものから加工してかっこよく仕上げてコントロールしているので、そのままアニメとして作っているんだなと思いました。
庵野監督の作る世界観が幾分なく発揮されたいい作品だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2020年3月23日
読了日 : 2020年3月23日
本棚登録日 : 2020年3月23日

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