鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年9月24日発売)
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感想 : 751
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(15-48) 上下巻をまとめて

再読。初読の時は物語の力に圧倒され、茫然としたまま何も書けなかった。今回も圧倒されたが、何とか気持ちを静めている。複雑に絡み合った国の関係は、人々の関係を更にもつれさせている。人間の体の中も同じようなことがおきている。外と中、大きな世界と小さな世界、その対比に魅せられてしまう。
一度動き出し変化したことは、それが無かったことには出来ない、戻れない、その哀しい現実を受け入れるのかあくまでも逆らって滅びるのか。
この物語には世界征服の野望を持つ悪の大王など出てこない。
皆、自分や家族、仲間、所属する国、その存続や利益のために必死に動いている。どの立場で考えるのかその違いでしかない。
「鹿の王」そう生まれつくものがいる。ヴァンはきっとそうなのだろう。
実は二度目に読み始めてからも、ラストどうだったのか思い出せなかった。今回読み終わって、ああ、こういう終わり方だった!前は読み終わってから、その後のことをずっと考えてしまい、そのせいで小説のラストが分からなくなってしまったのだ。
そしてまた私は彼等のことを思い続ける。私の中では彼等の人生は続いているのだから。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2015年6月18日
本棚登録日 : 2015年6月18日

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