(No.13-23) 児童書です。シリーズ外伝。
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『江南(カンナム)の美しく豊かな湾を統治する〈海竜商会〉。
その有力者サヴァンを伯父にもち、何不自由なく幸せな日々を送っていた少年・クワン。
ところがクワンの落とした首飾りがきっかけとなって、陰謀に巻き込まれていく。
多くの人の心をひきつける江南の第二王子クワンの絶望と波乱に満ちた再生の物語。』
ここで語られる物語は、本編でも説明されていたり推測できたりする内容でした。ただ本編では過去のこととなっていたのが、ここでは現在進行形。
恵まれた生活をおくるクワンの腕白ぶりが、この後に訪れるものを知っている読者(私)にとってとても切なくて・・・・。
でも父がいなくても、クワンのことを案じた伯父と母に思いっきり愛された少年時代があったからこそ、その後のクワンが絶望の中でも真っ直ぐな心を保つことが出来たのだろうと思えました。
しかしまあこの王様は摩擦を避けようとするあまりに、鈍感力で対応していてなんとも情けない人。
王妃は腹立たしいけれど、自分の利益を害するものに対してとても敏感だということに対しては一本筋が通っている。しかもそれを命じることなく解決する、天性の才能を持ってるし。
終盤、クワンとセオが言い争う場面がとても心に響きました。同じ年頃で、同じ場所で育った二人なのに、故郷に対する気持ちが正反対だったことです。
故郷という言葉に、ほとんど無条件についているイメージ。それはともすれば押しつけになりがちです。そう思わない人もいることを分かっておきたいです。
最後にセオはきっぱり自分を作り変え、強制的にクワンを先に進めて行きます。あのクワンがあったのはセオのおかげだったのね。
内容が分かってる話なのに、面白く読めました!
この前の外伝も面白かったので期待して読みましたが、期待は裏切られませんでした。
- 感想投稿日 : 2013年4月23日
- 本棚登録日 : 2013年4月23日
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