変若水

著者 :
  • 光文社 (2011年10月18日発売)
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感想 : 35
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(No.11-87) ミステリです。

『主人公は厚生労働省健康局疾病対策課・向井俊介、独身。平凡に生きていければ良いと、出世など望まず適当に仕事をこなしながら過ごす毎日。家族ぐるみの付き合いで幼なじみの佐山玲子とはお互い恋愛感情はなく、俊介はしっかり者の玲子を姉のように思い頼っている。
たまたま出勤時に出会い途中まで一緒だった玲子と新宿駅で別れてすぐ、「女性が倒れた」という声が。俊介が駆けつけるとやはり玲子だった。近くにいた小田桐という女医が名乗り出て手当てをしてくれ、救急車に俊介と一緒に乗ってくれた。しかし病院についてまもなく玲子は息を引きとった。
葬儀の後、俊介は玲子の母からパソコンのことを相談された。住所録などを調べようと思い操作しているうちに動かなくなってしまったので見てもらいたいと。
どうやらウイルスメールを送りつけられたせいだった。このパソコンに入っている娘の思い出を見ることが出来なくなった両親のことを思って、俊介は怒りがこみ上げてきた。送りつけてきたのは誰なのか突き止めて仕返ししてやる!調べ始めた俊介は、重大な告発文を見つけてしまう。もしかして玲子は殺されたのではないのか?』

東京での出来事と僻地の村での出来事がどう繋がるのか、早く知りたくてどんどん読み進めました。
主人公の俊介は魅力があるんだかないんだかよく分からない人物です。ちゃらちゃらしているようですが、一応自分自身の考えは持っているようで、やってやる!と思ったことは、結構頑張ってしまう人でした。私は熱血漢よりこういう人のほうが好きです。

ちょっと不満だったのはあの病気に感染した原因。私は以前あの病気についての本を読みました。少しその本の内容と違うようだったので、かなり無理やりで苦しい感じでした。ストーリー的にこれでなくちゃいけないというほどのことではないと思うんですが。まあ厚生労働省が興味を持ち、その後距離を置いても大丈夫だと思う理由には適当だったかもです。

警察が関係してきてから、ちょっと面白みが減ってしまった気がします。警察が俊介に親切過ぎでしょう。というか頼り過ぎ?民間人にこんなに関係させちゃって良いのでしょうか。まあ俊介を外してしまっては読者を放り出すことになるから、仕方ないのかもしれませんが。

新人作家さんとしてはかなりなレベルだと思います。面白かったのでこの人のことは覚えておかなくちゃ。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ(日本)
感想投稿日 : 2011年12月11日
本棚登録日 : 2011年12月11日

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