歴史でたどる領土問題の真実 中韓露にどこまで言えるのか (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版 (2011年8月10日発売)
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感想 : 14

領土問題は歴史問題なのか。隣接する中韓露とは各々領土問題を抱えている(公式には中国とは領土問題は存在しない)。それを歴史的に辿るわけだが、現在生じている問題はカイロ、ヤルタ、ポツダム、サンフランシスコの4つの条件により決定されるという事になる。あらためて敗戦国日本の置かれている状況が現代にまで続いている事を認識させられる。そして、この4つの条件により決定されていない事は、敗戦前や敗戦後の2国間の約束事により決定されるという事になる。
歴史的に考えるとこういう構造になる事を整理できたのはよかっし認識しておく事も重要なのだが、歴史認識は各国で異なる。よって、歴史認識したところで領土問題の解決に至らないのは明らかである。歴史認識の問題と現実の外交問題は時として混同されやすいが、両者を分けて考える事の必要性を認識させられる。
別途、日本が近代国家として領土的野心をどのように形成していったのか、欧米との違いはどこにあるのか、といった点をあらためて考えてみたいという気にもさせられた。
尚、著者は作家であり学者ではないので、多少記述が怪しい所があるように思える。その辺は割り引いて読む必要はあるだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年7月15日
読了日 : 2020年7月15日
本棚登録日 : 2020年7月14日

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