「時間」を哲学する (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (1996年3月19日発売)
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感想 : 30

現象学系の「現在中心主義」を否定し、「過去中心主義」を唱えているが、結局のところ著者自身が「現在中心主義」から脱しきれていない印象を受けた。「未来本物論者」への否定として、「未来は無であり、未来は現在である」という論理にはそれなりの説得力があるとは思えるが、これは未来を現在化しているにすぎない。他方、「過去からスタートせよ」と主張したところで、過去からスタートするのは結局現在でしかないのでは?と思えるのだが。しかも、最後の最後に「剥き出しの<今>」に触れてしまったにも関わらず、これを回収せずに終わってしまっている。本人曰く、「大逆転劇」との事だが、これは過去中心主義者として蛇足だったのではないだろうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年1月29日
読了日 : 2020年1月29日
本棚登録日 : 2020年1月29日

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