大学入試の倫理の勉強じゃ涙を呑まされたカントだけど、こうやってその生きざまを交えて読むと、その難解な思想も少し理解がしやすくなりそうだ。「風邪をひかないために鼻からしか呼吸しない」「知的な会話以外したくないので親族ともかかわらない」。著者もパラノイアという言葉を使っていたけれど、この本で読む限り、カントという人はどう考えても今でも強迫性障害だ。けれど、「すべての人に共通してあてはまる真理がなければ、それはアプリオリではなく真理でもない」という彼の倫理的潔癖症がなければ、のちのドイツ観念論もヘーゲルもなかったかもしれないと思うと、やっぱり歴史は奥が深いものだなと思う。軽い読み物として読みやすかったし、それなりに面白かった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
哲学
- 感想投稿日 : 2013年4月22日
- 読了日 : 2013年4月22日
- 本棚登録日 : 2013年4月22日
みんなの感想をみる