荻原規子の勾玉3部作のうち、「空色勾玉」に続くふたつめの物語。個人的には、一番好き。物語的にも一番長い笑 日本の神話を下地に敷いたファンタジーで、今回はヤマトタケルを題材にしています(前作は神々に焦点を当てていて、アマテラスとかツクヨミとかイザナギとかイザナミとかが出てくる)。
あらすじは、一言で言うのはちょっと難しい。三野の少女・遠子と、双子のように育った拾い子・小倶那の物語。小倶那は皇子の影武者となり都に上るも、皇子の謀反なり出生の秘密なんなりで、「大蛇の剣」という強大な力を暴走させてしまい、故郷である三野を焼き払ってしまう。生き残った遠子は、故郷を滅ぼし、他の国々も滅ぼし続ける小倶那を殺すため、「大蛇の剣」を鎮める勾玉、「玉の御統」を探し求める……、という内容。
ぶっちゃけて言うと、ラブストーリーです。ラブストーリーですが、ファンタジーです。しかも一筋縄ではいかない骨太のファンタジーです。設定やストーリーが作りこまれていて、児童文学としてあがることの多いタイトルですが、大人が読んでも十分楽しい。というより、一途な遠子ちゃんがすごく良いキャラクターで、大人こそ深く楽しめる。「小倶那を殺す」という物騒な想いに対しても一途だし、双子のように育った小倶那への恋慕も一途。
ラブストーリーという点で、若干少女マンガ風な香りが漂ってくるのが、男性読者にはノットフォーミー臭を抱かせやすいですが、ぜひ一読して欲しい作品。より深く楽しむのであれば、設定的なつながりのある前作「空色勾玉」も必読です。
一時期はこの勾玉3部作シリーズが好きすぎて、新作は出ねーのか、3部作で本当に完結なのかと悶え苦しんだ次第。
- 感想投稿日 : 2015年9月2日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年9月2日
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