下巻に入ると、モナコ学会での成功に目をつけたアメリカの企業からの魔の手が伸びてくるなどして事件が多発。テンポもあがって一気読みです。主人公・岸川院長の考えは全くぶれず、基本的に「患者のため」「患者の要望を叶える」。その姿勢は正しいが、「患者のため」を理由に何をしてもいいのかというと、当然そんなことはない。岸川院長の評価が難しいのは、通常の小説やドラマなら、悪役の医者は自分の利権(主にお金、名誉)を追い求めるので分かりやすいのだが、岸川院長は単純な利権にしがみついているわけではないところだ。上巻からずっと主人公視点で書かれているのでずっと読んでいると、正しいことをしているような感覚になる。やはり岸川院長は神に近づきすぎたのではないだろうか。やっていることは明らかに人間の領分を超えていると思う。実際の産婦人科医学がどの程度なのか知らないが、もしかしたら大部分は夢や想像の世界ではなく、この本に書かれているようなことが現実に実現しているのかもしれない。そう思うと恐ろしくもあり、ひとりひとりが考えておく課題のような気がする。
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- 感想投稿日 : 2009年8月14日
- 読了日 : 2009年8月14日
- 本棚登録日 : 2009年8月14日
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