ふたたび赤い悪夢 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1995年6月7日発売)
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本棚登録 : 447
感想 : 50
3

小説でありながら、哲学書でもある。それは作家の内なる叫びが、作品世界という自らの創造する空間に、神の視座として降臨した、一種の降誕祭なのかもしれません。んー、我ながら何言ってんだ?

本作、ワシにとって初めての法月倫太郎氏は、しかし初めて接するにはいろんな意味でイレギュラーだったのかもしれません。本作を、小説という枠で捉えることはとても難しく、小説としてはむしろ蛇足かもしれない、作者自身の思想が反映された「哲学的な」テキストが、しかし作品世界にフィードバックされているのも確かで、とても、読み解くのが難しいです。

作品は、とても読みやすい。でも、読み解くのが難しい。

たぶん、小説作品としては★4つ付けたいほど普通に面白い、本格ミステリーをきっちり堪能できる作品なのですが、その哲学の部分に、良いも悪いも判断の付かないワシは、一冊の本としては★3つとしました。

この、作品への神(作者)の干渉、というのは、じっくり考察したくなるテーマです。これまで、物語の構成は気にしつつも、物語の構造を気にしたことが余りなかったので、それを考察したいと思わせてくれた本作は、ワシにとってとても有意義な読書でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年3月27日
読了日 : 2014年3月14日
本棚登録日 : 2014年3月14日

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