小説でありながら、哲学書でもある。それは作家の内なる叫びが、作品世界という自らの創造する空間に、神の視座として降臨した、一種の降誕祭なのかもしれません。んー、我ながら何言ってんだ?
本作、ワシにとって初めての法月倫太郎氏は、しかし初めて接するにはいろんな意味でイレギュラーだったのかもしれません。本作を、小説という枠で捉えることはとても難しく、小説としてはむしろ蛇足かもしれない、作者自身の思想が反映された「哲学的な」テキストが、しかし作品世界にフィードバックされているのも確かで、とても、読み解くのが難しいです。
作品は、とても読みやすい。でも、読み解くのが難しい。
たぶん、小説作品としては★4つ付けたいほど普通に面白い、本格ミステリーをきっちり堪能できる作品なのですが、その哲学の部分に、良いも悪いも判断の付かないワシは、一冊の本としては★3つとしました。
この、作品への神(作者)の干渉、というのは、じっくり考察したくなるテーマです。これまで、物語の構成は気にしつつも、物語の構造を気にしたことが余りなかったので、それを考察したいと思わせてくれた本作は、ワシにとってとても有意義な読書でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年3月27日
- 読了日 : 2014年3月14日
- 本棚登録日 : 2014年3月14日
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