ワシはまだ、この物語を咀嚼できていないんじゃないか。この感想を書きながらも、まだそういう感覚に捕らわれています。過去の文学作品をモチーフに、現代の高校を舞台にした、ミステリー。好きな要素は揃っているのに、腑に落ちない。
それはたぶん、読んでいくうちにちょっとずつ感じた不満の欠片が膿のように溜まっているのかもしれません。例えば、シリーズ前提だからとは思いますが、一巻だけでは分からない伏線が何回も明示されて食傷気味になってしまったり、挿入される「物語」がなんとなく抽象的に感じたり、キャラの性格にゆらぎを感じたり。
一冊の本としたときの、ストーリーやキャラの芯になるもの、それがワシには薄くしか感じられなかった気がします。
と、苦言っぽいことを書いてはいますが、謎の蓄積のさせ方、その引き方など、先を読みたくなる構成とかは魅力的です。また、主人公による文学作品の「味の解説」も面白い。真の意味での本のソムリエのような、知らない作品もつい手にとってみたくなります。
その、魅力と危うさの線上に立っているように感じる本作。もう少し続刊を読んでみたいと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2014年1月20日
- 読了日 : 2014年1月18日
- 本棚登録日 : 2014年1月18日
みんなの感想をみる