カンランシャ

著者 :
  • 光文社 (2009年6月23日発売)
3.13
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本棚登録 : 194
感想 : 53
3

葛藤の描写が弱く、不倫や生死などの重たいテーマを扱う割に、さらりと読めてしまい、上滑りした感がある。
いちばん描くべきなのは、夫に浮気され自分も不倫に走る妻のいずみの感情や思考の揺れだろう。しかし、そこがいまいちうまく表現されておらず、もやもやした。恋愛を現実に進行させるとは、この言葉では表現できない、決断もできない、決めかねる態度が実際なのだろう。しかし、小説家はそこを、曖昧なままにしてはいけない。きちんと言葉を紡いで切り込んでいかなければいけない。さいごに、「恋愛は決意の連続なのだといずみは思い出した」で締めくくられるのだが、ほんとに書くべきなのはその決意のやり方であり、そこで起こる葛藤ではないのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 恋愛
感想投稿日 : 2014年2月2日
読了日 : 2014年2月2日
本棚登録日 : 2013年8月12日

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