世界史の中のパレスチナ問題 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2013年1月18日発売)
3.76
  • (16)
  • (28)
  • (17)
  • (3)
  • (3)
本棚登録 : 421
感想 : 36

・そもそもイスラエルが出来るずっと前から、アラブ人はイスラエル教徒だけではなく、中東地域ではユダヤ教徒やキリスト教徒と共存が出来ていた。ナショナリズムにより排外主義が盛んになったのは近世、近代になってから。
・反ユダヤ主義がはびこる原因は、福音書にイエスが磔にされることを望んだのがユダヤ人の民衆だと書かれているから。
・レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐は、ユダヤ教徒の儀式である過越祭を描いている。
・イスラム教とユダヤ教は共通の祖としてアブラハム(イブラーヒーム)を尊敬している。両方ともアブラハムを預言者として重視している。
・ユダヤ人がキリスト教徒から差別されるようになったきっかけは十字軍の遠征。
・オスマン帝国が領国内の外国人に与えた特権、カピチュレーション(領事裁判権、租税免除など)は、最初強国であるオスマン帝国が弱国のフランスに恩恵的に与えられたものだったが、後にオスマン帝国が衰退していくと、カピチュレーションは西欧諸国によるオスマン帝国に対する不平等条約に変質した。1858年に締結された日米修好通商条約のひな型もカピチュレーションに基づくものだった。
〈帝国主義時代〉
・強大国が弱小国を支配するにはそれを正当化する理由が必要だった。文明化の使命という考え方が植民地支配を正当化するものだった。
・ヨーロッパでは人種主義が登場する。その中でもっとも暴力的な表現が反ユダヤ主義。ロシアで国家が介在してユダヤ人への組織的な差別、迫害が発展しユダヤ人虐殺が行われるようになった(ポグロム)。
・フランス革命以降、ヨーロッパの国々でユダヤ解放令が出されていった。封建制から資本制へと移行したということ。個人を身分で縛るより身分制を廃止して自由な労働力を確保しようとする観点からユダヤ人解放が進んだ。
・ユダヤ人はそれぞれの国家においてより良き国民になろうとして改宗してキリスト教徒になろうとした者もいた。しかし、ユダヤ人は改宗しても所詮ユダヤ人であり続けるのだという人種主義的な考え方が広がる。ユダヤ教徒について、社会進化論や人種論、優生学などの疑似科学が広まり「ユダヤ人」は人種としてみなされるようになった。
・ポグロムを契機にして起こったのがパレスチナへのユダヤ人移民だった。
・シオニズムは19世紀ヨーロッパ、とりわけロシアていこくのナショナリズムの影響を強く受けている。
シオニズムはポグロムのような反ユダヤ主義の広がりに対するユダヤ人ナショナリストの民族主義的な防御反応である。
・第一次世界大戦でのオスマン帝国の敗北と崩壊が、この地域の政治秩序を根底から変えた。
・第一次世界大戦においてのイギリスの3枚舌外交。

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年7月24日
本棚登録日 : 2023年7月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする