16世紀から19世紀にかけてインドの宮廷で栄えた細密画(ミニチュアール)。神話や歴史、自然や音楽、文学までを繊細な筆使いで描いたミニチュアールは、ヨーロッパの絵画にも大きな影響を与えました。有名なところではレンブラントがミニチュアールを模写したものが残されています。ミニチュアールはもともと経典の写本にルーツを持つ宗教画でしたが、インドの思想や芸術、生活をいまに伝える大切な資料となっています。
本はミニチュアールに関わる画家一族やコレクター、骨董商などを取材したドキュメンタリー。このミニチュアールがインドでいかに特別なものか、教えてくれます。特に細かいところはリスの毛1本で描くという記述など、ミニチュアールの凄さとそれを大切にしてきたインドの人たちの本気さが伝わってきます。
ミニチュアールを通じてインドに触れる部分は、いままでインドのガイドブックなどにはなかった情報が満載で、読み応えも十分。著者はインドと「知られざる魯山人」など北大路魯山人をテーマにしたものの2テーマのみ。その潔さも魅力的です。
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カテゴリ:
アジア
- 感想投稿日 : 2011年6月21日
- 本棚登録日 : 2011年6月21日
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