透明人間 [完訳版] (偕成社文庫)

  • 偕成社 (2003年6月19日発売)
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感想 : 23

「ある雪の日、男が宿屋に来る。目深にかぶった帽子、包帯で隠された顔、室内でもマフラーを巻いたまま。怪しげな男は一体何者なのか、、、?」

本編でもどこかで出てきていたが、まさに「悪魔に取り憑かれた」と思ってしまう言動の数々。何らかの学問や研究に携わっている人は多かれ少なかれこういうものなのだろうか。寝食を忘れて没頭する情熱の危うさ。

彼の最初の研究も、それが完成した後の研究も、欲しかったはずの【周りからの賞賛】【友人】【家族】【仕事(金銭)】を自らの手で壊しながら事件を大きくしていくのが恐ろしくもあり、哀れでもある。

透明であろうがなかろうが、周りとの共存はいくらでも方法はあったと思うんだけどなぁ。

結末のあっけなさに少し驚いて、読み終えた瞬間は「この後ももう少しだけ書いて欲しかった」と思ったが、何を書いても蛇足だろうし、これでいいのかな。

怪物だと騒がれた彼も、結局はただの人間だったのか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年7月11日
読了日 : 2018年7月10日
本棚登録日 : 2018年7月10日

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