一見、分厚さにたじろぎましたが(しかも久々の2段組!)、一気に最後まで駆け抜けることが出来ました。コンクールの予選から本選までのタイムライン小説なので、箱根駅伝の往路を見ている時の感覚です。そう、スポーツではこういうタイプの物語で熱くなったことあったな、と振り返ってみると三浦しをんの「風が強く吹いている」を思い出しました。ただ何と言ってもこの小説のすごいところは「文字で楽しむ音楽」を実現したこと。登場人物が群像なのも(それがみんな日本語を解するのも)弾き手であり聞き手である、という仕掛けが上手く機能しているのに感心しました。AIが人間の能力を追い越すのではないか?と言われているシンギュラリティ時代に「神の恩寵」としての音楽を再確認しているのもこの小説が支持されている理由なのかもしれませんね。
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- 感想投稿日 : 2017年5月5日
- 読了日 : 2017年5月5日
- 本棚登録日 : 2017年5月5日
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