汚名: 九大生体解剖事件の真相 (文春文庫 376-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (1985年3月1日発売)
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感想 : 2
5

 なぜ本書を手にとったのかは全くわからないまま、なぜか読み進め、強烈な印象とともに一気に読んでしまう。
 終戦間近のこの事件についての予備知識がまずなかった。当時者が事件後30年あまりを経て、恩師に報いるべく精密な調査を開始、史実を確実に明確にした。追記を含め、その淡々としながらも迫力ある記述にまいる。まだ、自分の頭の整理がついていないながらも興奮気味に記録している。
 自分は本書を文庫版で、しかも古本屋で入手したため、2014年頭に事件を知ることとなったが、初版は1979年、文庫化は1985年である。約30年も前の本である。筆者のこの緻密さは記憶しておきたいと素直に思う。
 ひとつ疑問、かつ怖くなったことは、この手の事件はまだあり、闇に葬り去られた事件も多々あるのでは?ということ。戦中、戦後史観が、根底から覆るようなこともあるはず。まだ70年程度前の歴史の話である。かなりの記録がこの世から消えたはず。どうにも調査しようがない点もあるだろうが、これからのジャーナリズムに大いに期待し、類書の出現に期待したい。これほどまでに吸い込まれるとは思わなかったと再度記したい。まいった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2014年1月5日
読了日 : 2014年1月5日
本棚登録日 : 2013年12月3日

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