デビュー作「トップ・レフト」等、金融関係の著作が多い著者による初の司法小説。
出版されてから暫くたっていますが、この度読んでみました。
ストーリーは事実を基にしており、戦後の日本の司法の歴史を知る事が出来ます。
類書に今は絶版となっている「最高裁物語」がありますが、この本と本書の違いは、前者が明治時代から始まる近代日本の司法の歴史を取り上げ、特に石田和外元最高裁長官に始まる裁判所内のリベラル派の冷遇、強引な法解釈に基づく行政勝訴の連発等を主なテーマにしているのに対し、本書は原発運転停止を求める原発訴訟の歴史についても取り上げており、その始まりが1960年代からとなっております。
また、内容の方も小説にふさわしく、裁判所の主流派に属する男性と己が信じる道を歩み、その結果冷遇されてきた男性の二人を主軸にストーリーが展開していく物となっています。
結構読み応えがありますので、日本の司法について関心をお持ちの方は一読されて見るのも良いのではないでしょうか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年5月28日
- 読了日 : 2014年5月28日
- 本棚登録日 : 2014年5月28日
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