中国の鳥人 (新潮文庫 し 25-19)

著者 :
  • 新潮社 (1996年12月1日発売)
3.10
  • (1)
  • (8)
  • (50)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 198
感想 : 12
3

映画 中国の鳥人 とストーリーは
同じようだが・・・テイストがかなり違う。

おどろおどろしい 雰囲気が小説の中にある。
「照葉樹林」文化が そこに深く横たわる。

水木しげる風の怪しさ・・・
が満ち溢れる。
椎名誠って こういう作品を
書くヒトだったのだろうか?

中国の鳥人では・・・
東京から昆明に来るのに・・・
成都から 成昆鉄道にのって 
昆明にくることになっている。
わざわざ汽車に乗らなくても 飛行機で来ればいいことだ。

この中では 便所のウジムシ事件が 
成昆鉄道の途中の駅で発生する。
ある意味では それを書きたかったのだろう。
でも やはり 話の整合性は ちょっとなくなる。
宝石の出る村に行く途中の出来事として
組み入れればよかったと思う。

それにしても 椎名誠は 擬声語がうまい

ぬらびらぞらぞり
ぬらりじゃらじょり
じょりざらじょりざら
もりもりもらもら

ウジムシの這う音である・・
この想像力が なんともいえない 怪しさを生み出している。

通訳の 沈さん がおもしろいのは
『貴様』ということだ。
これは 軍隊映画 に影響されているのだろうか。
そういえば 水戸黄門 が好きだという
日本語のできる中国人にあったことがあるが・・・
その人も おかしな日本語を使っていたなぁ。

ござりまする。
とんでもねぇ。
おたすけください。

それが 水戸黄門から来たのかよくわからないが
時代劇風の 
言葉を使うというキャラクターもおもしろい。

鳥人になるためには
1 人間も空を飛べるということを信じること
2 特別の訓練と特別の食事
  飛ぶために最も効果的な身体を作る。
3 自分にあった揚力と浮力効率の高い
  鳳羽根 をつくる。

鳥人料理がいい
どろりとした汁のなかに 小さな穀物のようなものが
はいっている、噛むと小さなくせにきしきしとした
鋭い歯ごたえがあり 一粒一粒が 破裂する・・・蚊の目玉汁。
作り方は 蚊を沢山食べるコウモリの糞を
沢山集めて 煮て漉す。・・・それが ドロリとさせるのだろう。

アヒルの水かきのうま煮。
アヒルを生きたまま 鉄板の上に乗せて・・・
熱くて 沢山 はねると おいしくできる。

この 鳥人料理を 考えると
もっとおもしろい・・・

これは 実際に飛ぼうとするが・・
そうではなくて 幻覚症状として飛ぶ
という方法も 考えられる・・・
でも けしなどの覚醒作用だけではねぇ。
ちょっと 物語としては 貧困かな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中国小説
感想投稿日 : 2012年10月25日
読了日 : 2010年7月31日
本棚登録日 : 2012年10月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする