日本の原風景。澄んだ小川で、顔を洗う。
出だしの秀逸さは、目が洗われるような感じだ。
自然とサムライが、一体になっていた。
文四郎、逸平、与之助の三人が、それぞれ自分の道を模索し、
大人になって行く。三人の友人としての距離感が、いい。
文四郎の父親への尊敬。母親に対する接し方。
そして、おふくへの芽生え。あぁ。これが青春なのである。
嵐のようにやってくる理不尽さ。その中で、剣に打ち込む文四郎。
確実に、腕をあげて行く過程。興津とのホンのわずかな差。
犬飼兵馬とのしのぎ会い。
藩の権力闘争に巻き込まれざるを得ない状況がありながらも、
自分のポジションをじっと見つめ、守るべきものは何かを考え、行動する。
理不尽に対する、怒り。どこにも、向けられない怒り。
制約の中で、精一杯、清々しく生きる文四郎。
蝉しぐれのなかで、お福との最後の出会い。
その瞬間が、やってくるとは。自分の宿命を堂々と受け止める。
いい作品でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史物
- 感想投稿日 : 2013年3月15日
- 読了日 : 2013年3月15日
- 本棚登録日 : 2013年3月15日
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