龍陵会戦 (文春文庫 ふ 20-2 戦争文学三部作 2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2003年3月7日発売)
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本棚登録 : 26
感想 : 5
3

『断作戦』は、1日で読みきることができたのであるが、
今回は時間がかかった。
率直に言って 面白くないのだ。

断作戦は 龍師団を中心に描くことにポイントをおいていた。
断作戦 とはちがって 自ら体験したことを物語にしている。
何を伝えるのか?
がより鮮明になっているが・・
どうも、心もとないのだ。

『思う自分だけが自分だ。私には思うことだけしかできないし、
思うことだけはできるのだと私は思っていた。』

断作戦に出てきた『浜崎』が、古山高麗雄だったんだろう。
この言葉のもつ意味は・・・
一体どこにつながっていくのか?
とにかく、遅れながらも 隊列についていき
マラリアにかかったりして、野戦病院のなじみになり
銃弾が飛んでくれば 歯を鳴らしながら震えている
自信のない兵隊が、著者の 古山高麗雄だった。

時間的経過を淡々と追及する ということには、
好感が持てるが、
本来その中にあるドラマがきちんと構成できていない
ということ・・・
戦った、死んだ、後退した・・・ということの羅列すぎる。

この本を半分読んだときに
『心もとないのだ。』とおもった。

老いていくことに戸惑い
記憶が薄れていくことにおそれる
著者の姿が浮き彫りになる。
著者の『個人的な状況』を前面に押し出しすぎている。
著者の65歳という年齢がそうさせるのかなぁ。
生き残った戦友たちが鬼籍にはいっていくことが、
著者の恐れを増幅させる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中国小説
感想投稿日 : 2012年11月20日
読了日 : 2008年1月3日
本棚登録日 : 2012年11月20日

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