春の雪 [DVD]

監督 : 行定勲 
出演 : 妻夫木聡  竹内結子  高岡蒼佑  スウィニット・パンジャマワット  アヌチット・サパンポン  及川光博 
  • 東宝
3.11
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3

時代設定は大正初期。
幼なじみの2人、
侯爵家の嫡子・松枝清顕(妻夫木聡)。
松枝家は 成り上がりと 綾倉から見られていた。
伯爵家の令嬢・綾倉聡子(竹内結子)。
綾倉は没落する貴族だった。

綾倉の父親は 松枝に対する仕返しを
蓼科(大楠道代)に 結婚が決まったら
聡子と好きなヒトと交わらせることを伝える。
それが 悲劇を生み出すのであるが・・・
その時代は 屈折した性格の持ち主が多かった。

三島由紀夫は 確か天皇崇拝者であるが・・・
こういう物語を書くこと事態が
作家としてのアイデンティティを求めていたのかもしれない。

ふたりは淡い恋心を抱くようになる。
しかし、屈折した青年 松枝の若さまは・・・・
それをどうとらえていいのかわからない。
愛情表現が 違った表現でしかできない。
それをいちばんよくわかるのが 
友人本多(高岡蒼佑)だった。

若さまはラブレターを出すが、赤裸々な性の経験を
書いたのである。それを読まないようにと 
聡子の世話係の蓼科に頼むが・・・・
結局は読まれてしまう。

そして 二人は 雪見の馬車の中で
はじめて 接吻する。
その接吻をしたときには 若さまは
聡子が手紙を読んでいないと思ったが
実は読んでいたことを 本多から聞かされる。
そのことで 若さまは だまされたと思う。
相変わらず、屈折しているのである。

聡子に宮家の洞院宮治典王との縁談話が持ち上がる。
若さまは 父親に 問われるが 『関係ない』といい・・・

困惑する聡子は 若様に連絡を取ろうとするが
若さまは 手紙を読まず 燃やしてしまう。
冷淡な対応をしていた・・・。

聡子の縁談が確実になり・・・公的な発表もある。
ところが、いざ婚約が正式に決まると、
若さまは初めて聡子への愛の深さを自覚するのだった。
若さまは 徹底して 自分中心なのである。

一転して激しく聡子を求める若さまに、
聡子の心も大きく揺れ動き・・・・
『罰はすべておれが負う』という若さま。
そんなことはできないのである・・・若さまは 尊大である。

そして二人は 激しく燃え上がる・・・
お上のルールに背いた二人は 自から選んだ運命に翻弄されていく。

この物語では 若さまの祖母役 
岸田今日子が作品のすべてを決めた。
若さまに 洟垂れだ・・・というと
若さまは 『19歳だから洟垂れじゃない』というと
そういうことが 洟垂れじゃ といって、わらう。

聡子が妊娠したことがわかり
岸田今日子は
『天晴れじゃ。いまの腰抜けの若い者は
そんなことはできないじゃろう。
おじいちゃんの血を引いている。』
といいながら・・・・
『やることは決まっている。
子供を処理することだ』といいのける。
明治のオンナである。

ひょっとしたら 三島由紀夫の言いたかったことは
この岸田今日子に言わせているかもしれない。

この作品の竹内結子はいつにもまして
きれいであるが・・・
笑わない竹内結子は つまらない。

妻夫木聡は この屈折した青年の役を
善良そうに演じている。それが物足らない。
まだまだ ケモノが妻夫木聡の中には住んでいない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 青春/恋愛
感想投稿日 : 2013年10月21日
読了日 : 2013年10月21日
本棚登録日 : 2013年10月21日

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