海のふた (中公文庫 よ 25-4)

  • 中央公論新社 (2006年6月1日発売)
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よしもとばななと睦稔のコラボ企画。所々に睦稔の美しい版画が挿入され、小説の雰囲気を彩る。寂れて、変わっていくわたしの街。その背景には金の動きがあった。そして愛するおばあちゃんの死後、遺産相続のことで醜さを露わにする親族たち。その現実に心を痛めたはじめちゃん。金によって大切なものを奪われたわたしとはじめちゃんの出会い。そのふたりの心の通い合いの物語。大切なものの喪失は、ばななのいつものテーマである。これは作中の表現だが、生まれたシャボン玉を見つめて、それがポッと消えるまでのたまゆらの美しい時間。そんな時を過ごしたような読後感のある作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学
感想投稿日 : 2015年11月8日
読了日 : 2015年11月8日
本棚登録日 : 2015年11月8日

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