スカイブレイカー

  • 小学館 (2007年7月11日発売)
4.00
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本棚登録 : 24
感想 : 4
5

血湧き肉踊る空想科学冒険活劇! 前作エアボーンが面白かったので大きな期待を込めて読んでみたら、期待を裏切らない面白さでした。
40年前に財宝を積んだまま行方不明となった飛行船ハイペリオン号。その伝説の幽霊飛行船を捜索するためにマットは高高度飛行できるスカイブレイカーと称される飛行船サガルマータ号に乗り込むのだった。

前作では乗っている飛行船が空賊に襲われ大海の孤島に不時着し謎の獣にも襲われるという命がけの冒険に継ぐ冒険のため、マットは生き残ること第一で他のことに目を向ける余裕がなかったのです。そんな中からケイトとの淡い恋心が実る過程も見られたのです。
しかし今回はケイトとは一応恋仲となり、憧れの飛行船アカデミーにも通っているというある種の余裕がある状況から物語が始まります。
しかし余裕があるということは他のことに目が向くということであり、マットは金銭面に於けるケイトとの差や、恋敵の登場にコンプレックスが刺激されます。前作でも豪華客船のキャビンボーイという自分の地位に対しての忸怩たる想いも描かれていましたが、今作ではそのコンプレックスがマットの行動原理となり、悩みの核となります。それは若さから来るもので、その若さをしっかりと書かれているのがこの作品を冒険譚でありながら青春譚として成り立たせている要なのでしょう。
その姿に読者としては共感したり、ちょっとイライラしたりさせられるのです。でもその気持ちがあるからこそ、終盤のマットの活躍が光るのですけど。コンプレックスを脱却するきっかけが何とも若さに溢れるもので、いいなあと目を細めてしまうのです。

それ以外にも奇才グルーネルの発明、空に棲む未知の生物、謎の少女の正体などなど心躍る要素がてんこ盛りで楽しませてくれます。
どうもこのシリーズは続編もあるみたいなのですが、こちらは現在未翻訳なのですね。日本でも刊行されることを熱望します。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 在庫なし
感想投稿日 : 2018年4月14日
読了日 : 2018年4月14日
本棚登録日 : 2018年2月1日

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