こりゃ面白い!! 王が不在のまま乱れた恭国で、王になるため蓬山を目指す12歳の少女・珠晶。この珠晶が実にいいんですね。生意気とも受け取られますが、僕は清々しさを感じました。今までの十二国記の主人公たちは悩み迷い、そこから抜け出す物語だったのですが、珠晶はもちろん悩み迷いますが、基本は前向き。それも無責任な前向きでなく、自分の言動に責任を負おうとする前向きさ。幼さ故の経験のなさからくる過ちや過信はあれど、それを反省し乗り越えていく強さがあります。だから読んでいて爽快なのでしょうね。
新装版シリーズでは、この前に書き下ろし含む新規短編集が刊行されています。そこでは十二国記の世界に生きる市井の人々が描かれていました。そして今作ではこの世界に於ける最下層とされる人々が描かれてました。この流れで読むと実に十二国記の世界の深淵が見えるのですね。どの巻からでも楽しめる作りですが、こうやって作品の構成を楽しみながら読むのも一興でしょうね。そして世界の一端を知ると、以前読んだ作品の印象も変わりそうです。
珠晶にしても先の巻で王位に就いて90年が過ぎた姿が描かれていますが、今作を読むとあの時の言葉にはこうした裏付けがあったのかと思い知らされますし。今作でも以前出てきた人物が意外な形で再登場しますし。こうして十二国記の世界に、のめり込んでいくんでしょうね。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年1月22日
- 読了日 : 2014年1月22日
- 本棚登録日 : 2013年10月4日
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