太陽の棘

著者 :
  • 文藝春秋 (2014年4月21日発売)
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終戦から3年後の沖縄で、アメリカ人精神科医と、沖縄の画家たちの交流。

悲惨な戦場となった沖縄は、戦後その傷をまだ癒えぬままアメリカ軍たちに占領され、貧しいながらも細々と生きていた。
画家たちが作り上げたニシムイ美術村も乏しい材料をかき集めて、新たな生活を切り盛りしていた。

軍人たちのメンタルケアをするエドワード・ウィルソンの精神科医としての任務。
彼を鮮やかな絵でもって癒してくれたタイラを含めた美術村の人たち。

戦争で日本人はたくさん死んだけれど
そのぶん相手国も死んでいった人たちがいるんだね。

相手国を恨むことは簡単だけど、勝敗や人種関係なく多くの人が無差別に亡くなったと考えると、いったいなにを憎んだらいいのかわからないところがつらい。

アメリカ軍少佐に強い酒を飲まされて失明したヒガの変わり果てた姿を見て逆上したエドが
少佐を殴って強制帰国寸前のときに
タイラたちが軍の前で座り込みをして、エドの上司に物怖じすることなく流暢な英語で彼の身を案じる姿が
ちょっと泣きそうになった。

今はどうしても南国リゾート観光が目立つけれど
そこで実際に起きた戦争の事実をもっと知らなければと思った。
沖縄県立博物館に行きたい)^o^(

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2015
感想投稿日 : 2015年8月12日
読了日 : 2015年8月12日
本棚登録日 : 2015年8月12日

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