若いころ、推理小説を読んでは友達と感想を話し合った。ここがおもしろいとか、ここはずるいとか、たわいもない話だった。そんな調子で書いた学校の読書感想文への、先生の言葉がひとつだけ今も記憶に残っている。「面白かったし、悲しいところもあったのですね。先生も読みたいなぁ。先生はもっとよく知りたいから、今度感想文を書くときは、どんなところが面白いのか、どんなところが悲しいのかも書いてね」たなぞうに感想を書くときも、それが頭にある。面白かったから面白かったと書く。悲しかったから悲しかったと書く。でも、それだけでは確かに味気ない。のちに読み返すと自分の感想文ながら、なにが面白かったのかなにが悲しかったのか、とんと思い出せない。あらすじは、なおさら覚えていない。そんなときにこの本を目にした。「論理的思考」という言葉に、とてもきっちり整理された清潔さを感じた。とてもわかりやすく書かれているので、できそうなことから実践してみようか。好きなミステリの感想を書くときなどは意識してみたい。ミステリはとくに矛盾を感じることも多い。だから、そこに触れるには論拠を持って万人にわかるように書くことが大切だろう。ただ、ここがおかしいと、イチャモンまがいの批判はしたくない。最後に、著者は論理力を身につける方法としての「読書」も提案している。特に歴史小説を、大人の教養ということを含め、推薦している。「古典」は読むな。「良書」は買うな。と過激なことも言っている。マンガはもっとも先端的な表現方法と評価している。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
「考」 哲学のまねごと
- 感想投稿日 : 2008年8月10日
- 読了日 : 2008年8月9日
- 本棚登録日 : 2008年8月10日
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