青年というからには、若さとか情熱とか燃え上がるような恋とかいうものを想定しがちだが、そこはやっぱり鴎外翁。理性的でストイックな主人公に仕上がってます。
ただ、純一(主人公)の青年らしい拙さは、「(芸術のために)恋に憧れているけれど、恋を始めるきっかけが解らないよね」というところかな。
あるきっかけで知り合った美人の後家さんに弄ばれ?て、この恋?に飛び込んで良いのかどうか、途惑っている。
しかも、恋愛の手本をヨーロッパ小説に求めているところなんて、いかにも初々しい理想の高さがうかがえる。
その美貌から、作中何度か恋愛フラグが立っているのに、同性(大村さん)までもが、この美貌とかわゆい笑顔にめろめろになって、「もしかして俺、ホモかも」とか思っちゃうのに、
恋愛に対してイマイチ上手く立ち回れない(理想やら理性やら未熟さから掣肘されて)、
そんな不器用な、『青年』の物語でした。
ただこの純一という青年、あと5年も東京で暮らせば、さぞや立派なプレイボーイになることでしょう(笑)
そのころまでに、立派な文芸作品を書き上げられているかどうかは・・・わかりませんがww
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
近代文学
- 感想投稿日 : 2015年8月7日
- 読了日 : 2015年8月7日
- 本棚登録日 : 2015年8月3日
みんなの感想をみる