何もかもが完璧な「物語」
まさに教科書のように隅から隅までが出来上がった物語は、福音書と言って過言ではない。
オウエンの周りを囲む人々、起こり得るストーリーと人々。どれをとっても言うことはない。
若き頃のキリスト教演劇とクリスマスキャロルで示されたオウエンの選民意識。
素晴らしき生徒でありながら、校長に本気の対抗意識を持って総代を降ろされるオウエン。
大学に入ってからの彼の堕落っぷりとベトナムへの複雑な想い。
僕の人差し指を落とすシーンのアルコールの香りと指の痛みは、まさに現実に残るものがある。
そして偉大な文学への愛が遺憾無く発揮させられる。オウエンのハーディー分析や僕が教えるフィッツジェラルド。こうやって読者は一つの作品から偉大なる別の作品へと自分の文化圏を広げていく。
何度でも読み返すことのできる、最高レベルの傑作の一つ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年5月11日
- 読了日 : 2014年4月24日
- 本棚登録日 : 2014年4月24日
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